6.June

六本木には、モネがいる。上野には、ダ・ヴィンチがいる。
が、名古屋には、若冲がいた。負けてない。
若冲展に行った帰宅後、高校1年のころの美術の時間に描いた若冲のスケッチと感想文を引っ張り出す。読めば、今日思ったことと案外同じ部分もあり、我ながら成長していないことを知る。
だが、それはそれとして、やっぱりすごかった、実物は。実物大の迫力とか細部とか色のこく等の違いは言うまでもないし、「屏風」というものの強さ、見る角度や距離による劇的な変化は新鮮。
照明もニクい。生活の中で使われる屏風は、実際に起こるうつろいの光の中でこそ美しいのだ、と展示照明にゆっくりと強弱をつける。そのため、昼の清らかな緑と光と影の図は、日(照度)が落ちるとともに、金箔がにぶく浮かぶ幽玄の世界となる。一枚の絵が、こうも変わるのかと、驚きである。個々の作品がすばらしいのと同時に、こうしたその場でしか体感できない展覧会であり、さらにこの規模でのプライスのコレクションの公開は最後ということで、実際に見に行く価値はかなり大。
映画みたいに、展覧会にも「賞」をつくるなら、若冲展は今年の「金賞」候補である。